ヨシカワナオヒデの森

ここは、 “ ヨシカワナオヒデの森 ” の中にある 「 おはなし 」 の 湖。
毎日、ココから、不思議な “ 童話 ” が、湧き出るよ …プクップクプク…。

当サイト全てのイラスト及び文章の著作権は、ヨシカワナオヒデに帰属します。
著作権保護法により、無断での使用及び無断での掲載を硬く禁止いたします。
 Copyright(C) 2006−2008 naohide yoshikawa , All Rights Reserved
簡単いちごケーク
4月

トモコちゃんはすやすやの
通学路を元気に歩いて
学校へと向かっていました

「りるいるるう」

今日はトモコちゃんが楽しみにしていた
調理実習の日なのです

今日のメニューは
いちごのケーキ

楽しみで楽しみで
待ちきれなかった
トモコちゃん

新しい春色エプロンを着たまんまで
登校です

お母さんがいちごの刺繍をしてくれた
エプロン
春風にゆらめいて

メルヘンのボリュームは
知らず知らずのうちに大きくなって…

学校まで、あと、少しくらいの時でした

『おじょうちゃん、ちょうどよいトコロでした』

突然、草陰から、
ウサギさんが顔を出して

トモコちゃんに話かけてきたのでした

『こっちです』

そう言って、トモコちゃんの手を
ひっぱります

「わわわ、??」

トモコちゃんは突然の出来事で
なにがなんだか、ちんぷんかんぷん

ひっぱられるまま辿り着いたのは

ウサギさんのお家でした

『どうぞお入り下さい』

中では、切り株のテーブルに
スプーンを手に持った
ウサギさんの子供たちが

まだですかぁ〜

ってお鼻をぴくぴく、鳴らしています

ウサギさんは
申し訳なさそうに
小声で

『実は、わたし
 こっちの方が(料理)がてんでダメなもんでして…
 この子達に
 いちごのケーキを作ってやって下さいな
 え、いえいえ、簡単で結構ですので』

「え?いちごのケーキ…」

そんなコト
急に言われても…

トモコちゃんは困ってしまいました

今日、ちょうど
調理実習で作る予定の
いちごケーキ

「いちごケーキだなんて急に…」

『なにをおっしゃいますか
 その、いちご柄のエプロン
 いちごケーキの先生の何よりの証拠でしょ?
 簡単で、ほんの簡単でいいのですよ』

このエプロンは…
それに、簡単にだなんて言われたって…
そんなの無理です

ってトモコちゃんが
言おうとした時でした

エプロンのポケットの中に何か
紙切れのようなメモ書きが…

【 簡単いちごケーキの作り方 】

メモ書きの1番上にはそう書かれてありました

そう、それは
昨日、お母さんが
トモコちゃんのために
用意してくれていた
いちごケーキの簡単レシピだったのです

「簡単でいいの?」

トモコちゃんの問いかけに
ウサギさんは
お鼻をぴくぴくさせながら、何度もうなづきます

「じゃ、本当に簡単でいいなら…ちょっと待っててね」

材料は・・・・・・

[いちご]
 100コ
[生クリーム]
 1コ
[スポンジ]
 卵 …1コ
 砂糖 …1コ
 バニラエッセンス …1コ
 薄力粉 …1コ
 バター(食塩不使用) …1コ

工程は・・・・・・

1. スポンジを作ります。
卵を太陽部分、雲部分に分け、
太陽をボウルに入れます。
砂糖を数回に分けて加えながら
しっかりと泡立て、メレンゲを作ります。

2. 薄力粉をふるい入れてさっくりと混ぜ、
湯せんで溶かしたバターを加えて手早く混ぜます
おひさまオーブン170℃−約20分(良く晴れた日は15分)

3. 生クリームを、草で切ったイチゴと合わせます。

4. 仕上げをします。
スポンジを2枚にスライスして
生クリームをすずらんのチューブで塗ります

5. 歌を歌いながら、その上にイチゴを飾ります。


「はい、出来上がりっ!」

お母さんの簡単レシピのおかげで
トモコちゃん

上手に、簡単に
いちごケーキを作ちゃいました

『こんなに立派な、簡単いちごケーキ
 さすが、先生ですね
 ではさっそく…

 もぐもぶ

 …んんんまぁい』

 
ウサギさんも
子供たちも

本当においしそうに
トモコちゃんのいちごケーキをほおばって
お鼻をぴくぴく
満足そうに笑います

「ふふ、よかったぁ

 あ!
 こんなコトしてる場合じゃ…
 あぁ、もう、学校、遅刻だ
 わぁぁ、どうしよぅ」

その言葉に

ウサギさん、子供たちが
ぴくん
って一斉に、トモコちゃんの方を
向きました

そして、お鼻ぴくぴく…

はっっくしょん!!!!!!

ものすごい
春風がトモコちゃんを包み込んで
舞い上がります



閉じた目を開いた
トモコちゃんが気がつくと

そこは
学校のちょうどまん前

きんこんかんこん

始まりのチャイムが
鳴り始めの時でした

ぎりちょんセーフ


そうして、調理実習のお時間

いちごケーキ

手馴れたトモコちゃんに
みんな、すごーいって感心しています

だって今日、2回目だもん

トモコちゃんは
くすって笑いながら

小さな一人ごと


簡単いちごケーキ

お母さんがイチゴの刺繍をしてくれたエプロンには
春の魔法がかけられていたのでした
| おはなし | 00:33 | - | -
ぽぽたんのクッキー
ぽぽたんっ

ぽぽたんがローラースケートに乗って
よたよた
チエちゃんのトコロへやってきました

ぽぽたんは
ウサギさんのような
そうでないような
不思議な
チエちゃんのお友達です

『アロハ〜、ねぇねぇ、チエちゃん
 いっしょに、ローラースケートしようよ』

突然、現われて
ローラースケートしようだなんて…
チエちゃんはびっくりです

「ぽぽたん、こんにちは
 久しぶりだね
 ローラースケートかぁ
 うーん、でも私、すぐこけちゃうと思うから
 遠慮しておくよ」

『えぇ、こんなに楽しいのに
 僕が教えてあげるよ
 だって、僕
 ローラースケート、ものすごく上手だから
 だって、一回もこけたことないんだよ』

だけど、チエちゃんは
ローラースケートも持っていないし
やっぱりできないよって
優しくぽぽたんに言いました

『しかたないなぁ

 あ、あ、そうそう、これ』

今度はそう言うと
ぽぽたん、お腹のポッケから

何やら
リボンのついた包を取り出しました

『これ、ヴァレンタインのお返しだよ
 はい どうぞ』

「わあ…ありがとう」

3月14日からもう
完全に2週間以上すぎていますが…

優しいチエちゃんは
笑顔 笑顔

「中身は何かなぁ」

『にひひ、秘密だけど、僕の
 1番、好きなものだよぉ』

ぽぽたんの好きなもの…
いつもコロコロ
変わるんですから
わかりません

『んもぅ、クッキーだよ』

そして
チエちゃんが考える間もなく…
中身はすぐにわかっちゃいます

『じゃ、僕行くね
 バイバイ』

そう言って
ぽぽたんは
よたよた
決して上手そうには見えない
ローラースケートに乗って

走ってゆきました

『バイバーイ
 クッキー、ありがとう』

そうして
チエちゃん

お家に帰って

ぽぽたんからのお返しの包みを開けてみると…

…なんと中身
クッキーが
割れちゃって原型すら
わからなくなっちゃってます…

よく見てみると
包みも何だか、しわだらけで…

「これって…」

そう、明らかにローラースケートで
こけまくってなったものだと
簡単に推測できちゃいます

ロラースケート
教えてもらわなくて良かった…
と、割れていても
とってもおいしい
ぽぽたんからのお返しを
口に運びながら

チエちゃんは、思うのでした
| おはなし | 23:03 | - | -
認めない花粉
「花粉症ですか?」
『いや違いますよぉ』

心細い夜に

春の花粉をいっぱいつめこんだ
子ネコがやって来ました

子ネコ
やってきたばかりで
僕の手の指に割り込んで
もう、眠っています

とっても無知で
純粋さん

この子ネコは
ずっと…僕のものなんだと
勘違いしてしまいそうな

そんな僕の錯覚は
花粉漂う幻想パレード波の中
しだいに、必然的になっていきます

ひとひとひとひとひと
ものものものものもの

秩序気持ちなくごった返す深夜のパレードにおそわれて
手の中の子ネコを守らなくちゃと
思う 僕

どっくどっく
震える小さな静声

いのちってこんな感じ

眠れない夜も
そのぬくもりを感じると
僕は安心するのでした

いのちってこんな感じ

くしゃみをすると、消えてしまいそうな
あやうげな感覚もまた
その通りで

だから僕は今年も
花粉症を認めたくなくって

むずむずはなの
くしゃみをガマンしているのです

「花粉症ですか?」
『いやいや・・・』
| おはなし | 04:39 | - | -
糸雨
3月の雨は
たいていの場合
センシティブ

なつかしき
ミクロの窓が
雨音の中から甦ります

窓を開いて
覗いてみれば

ほらほら
予想してた通り

スミレの葉の先端に
立った
マユの幼精が

想い想いに
落ちてくる
その雨の糸に
いっしょうけんめい
針を通してゆきます

あんなに細い雨の線を
上手に上手に
糸も簡単に
集める集める
マユの子

それは、もどかしく
けなげで
なんだか
いつかの、わたしを見てるよう

何をそんなに急いでいるの?
って、言いたくもなります

マユの幼精は
休む間もなく
その糸をつむいで

あたたかいものを
つくろうと必死です

そんなに急がなくたって……

しかし、ミクロのマユの子には
わたしの声など聞こえず


ゆらゆら

ゆらゆらゆら

ほおっておいたって
来るんだよ

ゆっくりだって
スミレの葉先のリズムにあわせて

いつかは
来るんだよ

あたたかい季節は……


それでも
こんな
3月、雨の日

幼なきマユは
糸をつむいで

あたたかい
なにかをつむぎ
続けようと
必死なの、、、でした
| おはなし | 00:21 | - | -
花粉症デビュー
ぽかぽか

よくぞ
晴れてくださいましたの
土曜日の朝

ゆらゆら

そよぐレースカーテンの
緩やかなリズムに
合わせて

ざわざわ

心もとなく現れた
少年少女合唱団が
私のお部屋から
行進をはじめました

そわそわ

いったい
どこの子たちだろう
はじめて見る
その子供たちは黄色い帽子をかぶり
おのおのに
これもまた
見たこともないような楽器を奏で
わざわざ
黄信号を選んで進んでゆきます

私はというと
ほとんど無意識の状態で
その合唱団のしっぽにつかまり
あとに付いて
歩いていました

ひゅうひゅ

風は
昨日までとは
明らかに違う形をしています

まーちまーち

そうして
いつのまにか
これまた
見たこともないような
森の中
湖のほとりまで
私はやって来ていたのでした

合唱団たちは
湖を囲うように整列をはじめます

ここは……

一面に広がる
菜の花の湖

湖面は
黄色で覆われ

きらきら

輝いて
今にも動きだしそうな
躍動感に溢れています

そして

『はい ど〜ぞ よろしくお願いしま〜す』

合唱団たちが
声をそろえて
そう発するのと同時に
湖面いっぱいの菜の花の花粉が

しゃららら……

黄色波
いっせいに舞い始め

私は思わず


  【 は、は、はくしょん!!! 】


『はじまり〜 はじまり〜 ぱちぱちぱち』

え!?
も、もしかして
これって…

今ちまたでうわさの花粉症?

いえいえ

今年の春が
私の
スタート合図の号砲で
はじまったっていう意味の

気持ち新たに
かんばれよっていう意味の


  はっくしょん
| おはなし | 01:23 | - | -
ぽぽたんのチョコレート
今日はヴァレンタイン

チエちゃんは
お友達にプレゼントするために
チョコレートムースをつくってきました

今から
そのお友達に会いに行くのです

今日は
いい天気

チエちゃんも太陽も
るんるんの笑顔らんら

そして
公園の前あたりに
差し掛かった時です

ぽぽたんっと

草場の影から

ぽぽたんが
顔を出しました

ぽぽたんは
ウサギさんのような
そうでないような
不思議な
チエちゃんのお友達

いつも
突然
(自分の都合で?)
チエちゃんの前にやってくるのです

『わ!』

驚かそうと
出てきたは良いけれど
タイミングが
明らかに遅くって…

その前にばれてる
ぽぽたん

だけれど
優しいチエちゃんは

わざと
びっくりしたふりをしてあげる?
のです

「わぁ びっくりしたぁ
 こんにちは ぽぽたん」

チエちゃんが
ぽぽたんに言いました

『そんなに驚かなくても大丈夫だよぉ ふふふ…』

ぽぽたんは、今日は何だか…

しらじらしい笑顔で…
様子がへんです…

「ど、どうしたの?今日は」

チエちゃんが聞くと
ぽぽたんは

『今日はね 今日はね だってだって』

手を後ろに回して
おしりをぷりぷり

視線の先は

チエちゃんの手にぶら下がる
カバンに向けられ…

『僕に会いたいのかなぁって思って
 だってだって 今日はね…』

「…」

チエちゃんは
取り合えず

愛想笑い…

「あっ
 私 お友達に渡したいものがあるの」

チエちゃんは
そのまま歩きはじめました

『じゃ、先にそっちいっとく?』

…ぽぽたん
そう言って

チエちゃんの後を
てくてく

ついてきます

ついてきてとか
チエちゃんは言っていませんよ…

そして
やはり
視線の先は…

『ねぇねぇ
 僕がおかちの中で1番好きなの
 何でしょ〜うか?』

ぽぽたんがチエちゃんに聞いてきます
頼んでもいないのに…

でも
ちゃんとチエちゃんは
こたえてあげます

「えーっと、キャンディかなぁ」

『ぶっぶっぅ 違います』

だって…この前
あめ玉が大好きって…

『じゃ、ヒントね』

チエちゃんは
ヒントがほしいだなんて
全然 言ってもいないのに…

ぽぽたんは続けます

『茶色くて あまくて
 でねチョからはじまるよ
 あとねぇ 最後がレートっていうか
 コレートっでおわるよ
 わかるかなぁ』

「……」

わ、わからないわけないし…

だけれど
やっぱり
優しいチエちゃん

少し考えたふりして

「あっ、わかった チョコレートだ」

『せーかぁい そうそう
 そうだよ
 チョコレート
 僕が今日
 1番好きな おかちなんだぁ』

今日って…

「そうなんだぁ…」

チエちゃんは
苦笑い…

そして
ぽぽたんは
まっすぐな瞳で
チエちゃんの方を見ています



でもね

やっぱり優しい
チエちゃん

お友達の分と
それに
ぽぽたんのチョコレートも
ちゃあんと
作ってきていたのです

「あ、そうだ
 これ
 ヴァレンタインのプレゼント」

そう言って
かばんの中から
チエちゃんは
ぽぽたんに
チョコレートムースを1つ

手渡しました

『えぇえ…なんでなんで』

…それが目当てだったんでしょ…

『おぉ チョコレートムースだぁ
 僕がおかちの中で
 ムースが大好物って 言ってたっけかなぁ』

…言ってはいなかったけどね…

そして最後は
ぽぽたん

『ありがとう』

って
チエちゃんに手をふって
帰ってゆきました

結局…それだけもらって

でも
チエちゃんはうれしそう

んもぅって
笑って
ぽぽたんに手をふり返します

「またね ぽぽたん」

まだまだ、謎多き

ぽぽたんの第2話でした
| おはなし | 23:49 | - | -
ぼたん雪
ゆらゆら

ぼたん雪がふってきました

今年1ばんの
ぼたん雪

森の仕立て屋さんは大忙し

イチジクの木で出来た
バケツを抱えて
森へ出かけます

ぽたんぽたん…

大きなぼたん雪

ぽちんぽちん…

小さなぼたん雪

仕立て屋さんのうでに抱えられた

バケツの中に落ちてゆく
ぼたん雪は

ぽぉ

少し縮んでから

からんからん

服のぼたんへとなってゆきます

ぽぉ

からんからん

その音で

リスの親子が木陰から
ちょこんと顔を出しました

いつもの冬眠から
ちょっぴり早く目が覚めちゃった

リスの親子

ぶるっと震えて
目をこすります

からんからん

「ぼたんができるこの音で
 目、覚めちゃったね
 ごめんね」

森の仕立て屋さんは
バケツを置いて

「ちょっと、待っててね」

と、何やら作業を
はじめます

すりすり
すりすり…

「はいっ、出来上がり」

そう言って

リスの親子に
小さな毛糸のセーターを
手渡しました

「起しちゃって、ごめんね
 これ着て、もう少しでやってくる
 春まで、がまんしてね」

リスの親子はうれしそうに
飛び跳ねて
森の奥へ

仕立て屋さんも笑顔で
また
バケツを抱え
ぼたん雪を集めます

ゆらゆら

ぽたんぽたん…

ぽちんぽちん…

森にぼたん雪がふっています

ぽぉ

からんからん

リスの親子
セーターのぼたんは
今さっき、出来たばかりの

ぼたんでした
| おはなし | 13:18 | - | -